まじでひま

別に暇じゃないし、どちらかというと忙しい

日本と韓国のK-POPの違いってなんだろう

NiziUめっちゃ可愛くない?

いや、私PRODUCE101JAPANっていう番組で精神崩壊してからオーディション番組みないって神に誓っちゃったのでNizi Project自体はみてないんですが、みんなかわいいしダンス上手くてデビューが楽しみなレベル。今のところ推しはミイヒちゃん。

で、私はご覧の通りK-POPかぶれおばさんで、いろんなK-POP聴くようにしてるんですけど、同じくK-POP好きな先輩K-POPファン(おそらく)の同期が、こんな内容のツイートをリツイートしてました

 

”日本人メンバーだけのグループが本格的なK-POPを歌うという、妙たる化学反応とあるけれど、二ジュのMake you happy見たいな曲はKオタからしたら「Kpopが日本で出すようなクオリティの曲だね、でもKpopではないよね」の認識だけど一般の日本人からしたら「うわまさにKpop!」っていうこの認識の差”

 

もう元ツイートは消されてるのか見つからなかったんですが、私は「ワーちょっとわかる。おもしろ」って思いました。

ただ、その「韓国のK-POPと日本のK-POPの違い」って、「クオリティの違い」じゃないのでは?と思ったんです。

いや確かに、NiziUちゃんはデビュー前だから実力がデビューしてる他の先輩グループより劣っているのは当たり前だし、今公開されている「Make you happy」はプレデビュー曲だからクオリティーを落としてるところもあるんだろうけれど、でもそれにしたって「クオリティーがちげえんだわ」だけで片付けられる違いじゃなくない?と思って。

そこで私は、音楽に詳しくないなりに、K-POPを聴いてきて思った「韓国と日本の違い」についてまとめていこうと思います!イヤッター

 

 

 

 

 

訳の限界点

 

まず、これはよく言われることなんだけど、「韓国でヒットした曲の日本語バージョン、めっちゃ微妙やん」っていう話です。

K-POPアーティストが、ヒットした曲を日本デビュー曲として日本語歌詞に変えて歌うのは結構ありがちな話。世界的に見てもK-POPファンの人口は日本は多い方。(IZ*ONEに至っては日本の方が本国よりオタクの人数多いらしい。大衆認知度は置いておいて、の話だけれど)

隣国で活動もしやすいから、そうやって日本人でも親しみやすいように、どのグループもリリースくれているんだろう。

私みたいに韓国語がわからないオバチャン的には、日本語訳は「カラオケで歌いやすいぜ!ありがてえ」とか「推しが頑張って日本語を覚えてくれている…!私たち日本にいるファンのために…ありがてえなぁ」という感じなんですが…、新大久保にいるギャルたちはみんな韓国語ができるので、「別に日本語バージョンとかいらなくね?!」と思うのではなかろうか。

それに、私でも「え…日本語歌詞、微妙と違います?」っていうことがある。

 

まず、TWICECheer Upという曲について。


TWICE "CHEER UP" M/V

この曲は本国ではTWICEで一番ヒットした曲で、その後のTTやWhat is Love?みたいな有名な曲に続くきっかけとなった曲。

その冒頭部分について、韓国語版と日本語版を比較してみます。

 

韓国語版はこんな感じ

매일 울리는 벨벨벨
 毎日鳴り響くベル ベル ベル
이젠 나를 배려 해줘
 もう私のことも考えてよ
배터리 낭비하긴 싫어
 充電の無駄遣いはしたくないの
자꾸만 봐 자꾸 자꾸만 와
 何度も見る ひっきりなしにかかってくる
전화가 펑 터질 것만 같아
 携帯がパンっと破裂しちゃいそう

出典: https://ameblo.jp/0405ky/entry-12153842049.html

 

それに対して日本語歌詞がこちら

君から鳴るベルベル

ごめんマジ無理

バッテリー減るの早すぎる

着信が止まらなくって

スマホがパンッ弾けそうだよ

 

なんで?????

いや、韓国版の歌詞の意味を踏襲しようとしていて、それを日本語に落とし込んでいる感じはあるけど、マジでなんで?なんでこんなダサくなっちゃったの?

で、結構日本語にしようとしてちょっとダサくなっちゃうことは多くて、その主な理由は、私が考えるとこの三つ。

 

①直接的な表現が多い

例えば、この歌詞にも出てくる「着信」という言葉、韓国版では直接は言わず「かかってくる」という言葉のみで表現している。でも日本語では二文字熟語、硬い「着信」という直接的な表現になってる。文字数の関係とか、見合う表現がなかなかないとか、そういう理由からなのか、日本語バージョンは婉曲表現を使わずになんか変な曲になってしまうことが多い。

特に日本人って「言わなくても伝われ」民族だから、婉曲的な表現の方が好きな人が多いかもしれないって思う。

例えば秋元康は、「泣く」という表現だけでも

「瞳がウルウル溢れて止まらない」(大声ダイヤモンド

「傘さしてるのに頬が濡れる」(てもでもの涙

など、多種多様な表現でAKB48に歌わせている。多分韓国の曲を日本語訳したら、全部「涙が出ちゃう」になると思う。文字数もその雰囲気も合わせて言葉を変えるのって、想像以上に難しいから。

 

②若者言葉が多い

Cheer Upの冒頭部分だけでも「マジ無理」という歌詞が出てくる。

韓国語の日本語訳曲では他にも、「ガチで」「アガりまくろ」みたいな、「若者言葉」が出てくることが多い。日本のアイドルソングって、「マジ」くらいならトンチキアイドルソングで出てきそうだけれど、真面目な曲だと意外となかなか出てこない。

ましてや「アガりまくろ」なんて多分フワちゃんがアイドルデビューした曲とかじゃないと出てこんよね。

 

③韓国語の表現をそのまま日本語にしている

スマホが爆発しそう」って、韓国だとしっくりくる表現なのだろうか?韓国語勉強してる、心優しいK-POPファンの友達も調べてくれたんだけど、当該の言葉には沢山意味があって難しいらしい…。(ありがとう心優しい友)私には勿論全くわからないから韓国に詳しい方教えて欲しいんですが、とにかく日本語で「弾けそう」は違和感を感じる。しかも「爆発」ならまだわかるけど、これも文字数との戦いの結果なのか、「弾けそう」に改変してしまいもっと意味が分からなくなってしまっている。私だったら「壊れそう」ぐらいの優しさにするか、まるっきり別の表現にする。

 

というような理由があって、なんか微妙なのよね…となる仕上がりになってしまうわけ。

 

でも、最近はそういう声が多いからなのか知らないけれど、割といい感じの日本語歌詞に訳されていることも結構ある。

 

 

 

この前布教ブログを書いたRed Velvetのヒット曲「Peek-A-Boo」、例によって日本語ver.が出ているのだけれど、これがまあまあ良かったのでちょっとみて欲しい。


Red Velvet 레드벨벳 '피카부 (Peek-A-Boo)' MV

まず韓国版

Oh gosh 난리야 Oh gosh 
 Oh gosh 大騒ぎね Oh gosh
 맞아 난 좀 기분파 
 そう 私はちょっと気分屋
헤 금방 또 사랑에 빠져 
 ふふ すぐまた恋に落ちるの
새것만 좋아해요
 新しいものだけ好きです
 반짝거리죠 
 キラキラしてるでしょ?
다들 그렇잖아요 맞죠 
 皆もそうじゃない でしょ?
Peek A Boo 설렐 때만 사랑이니까 
 ときめく時だけ愛だから
내 친구 모두 소리쳐 
 私の友達は皆叫ぶの
넌 정말 문제야 
 あなたはホントに問題よ!って
Peek Peek A Peek A Boo
 (いないいないばあ)
 흥이 난 여우 그런 나라구 
 楽しくなっちゃうそんなずるい女なの
 
日本語版
Oh gosh アタリ (Oh gosh)
いわば気まぐれ
へぇすぐに好きになっちゃう
みんなも好きだよ輝くモノ
新しいからでしょう?
Peek-a-boo ときめく恋だから
騒ぐ友達はもう呆れたわ
Peek-peek-a-peek-a-boo
空気に酔うもっと早く
 
最初の方の「みんなも好きだよ 輝くモノ」あたりは違和感が拭えないけれど、「楽しくなっちゃう そんなずるい女なの」の部分を無理せず「空気に酔う もっと早く」と訳したところは結構良い。しかもここの部分、韓国語原曲の発音が「ふになにょう くろんならぐ」なので、発音も似せてちゃんとライムさせているところも好感が持てる。
この曲、最初の方は私の恋愛感っておかしいの…っていうよくある歌詞だが、最後の方に「月がジャングルジムにかかるまで遊ぼう、月がジャングルジムにかかっても遊ぼう」っていうあれ?ホラーだった?っていうパートが出てくる「恐かわソング」なのが魅力である。そういう大事なところはちゃんと改変せずに訳されているのもいい。
 
 
 
思い返せばRed Velvetの所属するSMEntertainmentは、日本語訳曲でも割といい曲を出してきたように感じる。
例えばK-POPブームの先駆け的存在、少女時代もSMのアイドルだ。そう言えば日本でも大ヒットした「Gee」は韓国オリジナルの日本語訳だけれど、確かにそんなに違和感なく聴いていた覚えがある。
 
 
そして私の周りのK-POPオタクから最も支持があったのは、SMドル、f(x)の「4 Walls」。
 
これに関してはまじで一箇所も「あれ?」って思うところがない。

4 Walls

4 Walls

 
実は、日本語版では最初に「カサブランカ チューリップ スイートピーマリーゴールド」って花の名前が入るんだけれど、原曲には全くそんな部分ない。
それに、原曲では「青が滲んでいく」みたいな歌詞が1番にあるのが、日本語版では2番に入ってきている。
そう、恐らく日本語版でなんか変な感じになっちゃわないコツは、「無理しない」ことなんだと思う。
意味を崩さず訳すのも大事だけれど、全体を通して雰囲気が伝わっていればいいわけだし、日本語でピッタリな表現があるならそっちを使っちゃた方がいいこともあるよね、ってこと。
 
 
 
もう一つ、ヒット中、OH MY GIRLの「Nonstop」という曲も紹介させて欲しい。
韓国版
무인도에 어느 날 떨어진 거야

 黒歴史まで全部知ってるあなたを

절대 그럴 리는 없어 난 never ever 그래야만 해
 絶対そんなはずないよ 私は そんなことない

무인도에 어느 날 떨어진 거야

 無人島にある日落ちたの

둘만 남게 됐다면 넌 어떨 것 같아

 二人だけ残されたら あなたはどうするのかな

생각만 해도 무섭 얼굴을 찌푸렸지만

 考えてみるだけでも怖いって 顔をしかめたけど

너에겐 얘기 못 해 절대로

 あなたには言えない 絶対に

살짝 설렜어 난 

 こっそりときめいたの 私は

그럴 일 없지만

 そんなことあるわけないけど

살짝 설렜어 난

 こっそりときめいたの 私は

出典: https://ameblo.jp/sullun114/entry-12593001482.html  

 

日本語版 

私の全部を知る君を

まさかそんなはずはないnever ever 気のせいね

想像してみたの 無人島に

二人きりずっと いるとしたら…

心が戸惑った 目を閉じ感じた

気持ちが動き出しそう

「キュンときた、大好き」

こんなはずじゃない

「キュンときた、大好き」

 

 

 「黒歴史」をそのまま訳さなかったのファインプレーすぎるし、直訳をしないけれど、全ての意味をちゃんととることを諦めていない感じがとても良い。

ただこれ、私的に「ここはちょっと…」と思う訳文が一つだけある。この歌詞、この一部を読んだだけでもわかると思うけれど、「仲良い友達のことが好きになってしまった、いやそんなはずはない!でも好きかも…」っていう恋に落ちる瞬間の複雑な心情を歌った曲である。

そういう歌詞で「大好き」って言っちゃダメじゃない?

この曲のタイトルも、韓国本土のハングル表記だと「살짝 설렜어」で「こっそりときめいた」である。翻訳している方が何人かいたけれど、その中でも「ちょっぴりキュンとした」というのが意訳だけれど一番しっくりきた。そして、海外向けだとタイトルは「Nonstop」、認めたくないけれど好きな気持ちが止められない、っていう心の動き方を示した言葉だと想像がつく。そんなタイトルにもなっているような肝心な部分を「キュンときた 大好き」と訳してしまったら、「好きかも」じゃなくて「好きでーーーーーす!!!」って感じじゃない?

しかもこの曲、流行りの音サビだから、「キュンときた 大好き」の部分がサビ中何度も連呼される。大好きの連呼により、めっちゃ恋心を自認してしまっているように聞こえる。しかし!「あ?じゃあお前、ちゃんと文字数合わせてもっといい訳文思いつくんか?」と言われるとめちゃ難しい。訳って思ってる以上に難しい。

 

 

正直このくらいの言葉の意味の違いに目くじら立てるのがナンセンスなのかもしれない…。時々「発音がおかしい」とか「もう日本語曲出すのやめろ」とかいうコメント見ると、頑張って日本語覚えた推しと、頑張って日本のファンを喜ばせようとしてくれたスタッフのことを思って悲しくって泣いてしまうんだけれど(誰目線?)、でもやっぱり、ある程度妥協しないといけないのが、歌詞の翻訳の根底にあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

日本語訳は罪なのか? 

 

そもそも韓国語で歌うこと自体それを「文化」だと私は思うし、無理して日本語に直したらそれは文化を歪めていることにならない?っていう話もある。

私はそれ、一理あるなって思っていて。韓国語で作られ、完成した曲を別の言語に直すこと自体が冒涜といえないこともない。

ただ、これは完全な感情論なんだけれど、もちろん韓国語で無くなってしまった以上ある一定の文化圏を出ているってことにはなるのかもしれないけれど、それが、言葉の違いがその曲の良さを全て殺しているとは思えないし、ましてや日本語バージョンを作った意図や努力を否定する理由になるはずがない。 

 

まず、韓国人が韓国語以外で歌うこと自体を否定してしまうのはお門違いじゃない?じゃあ全編英語のPerfumeの曲は不完全な曲なの?って話になる。

さらに、元々韓国語で完成されている曲を翻訳して歌ったとして、確かに原曲とは全く違う曲になっていたとしても、その曲自体の意味が失われたことにはならないと思う。


私は歌う意味はなんだっていいと思っている。思いを伝えたい、たくさんの人に歌声を届けたい、稼ぎたい。実際に日本語バージョンの方がカラオケで歌いやすいわって、思う私みたいなにわかファンがいる時点で意味は十分持っているのだし。 


もっといえば、日本語バージョンが新しい境地を開拓した例もある。MAMAMOOHIPという曲、サビに「머리 어깨 무릎 HIP」という歌詞があり、「頭 肩 膝 HIP」という意味である。これが日本版になると「顔肩脚HIP」になる。顔肩脚って、曲中に出てくるとなんかダサく感じてしまう。


[MV] 마마무(MAMAMOO) - HIP

公式動画のコメント欄にあってびっくりしたのだけれど、どうやら韓国人にも、同じように「韓国語原曲の『머리 어깨 무릎 HIP』の部分はダサい」と思っている人がいるらしい。そういう人の中には日本語版の方が意味が取れない分、その部分の発音が格好いいと感じて、韓国語話者だけれど日本語版を好んで聴いている人もいるらしい。なんか面白くない?「意味がとりにくくなった」ことが意味を持ったという。それの是非はさておき、日本語バージョンができなかったら起きえなかったことである。


とにかく、今のは「日本語版が新たな意味を持つこともあるぜ」っていう話だけれど、言語に拘ってしまうのは、なんか音楽の持つ「理由はなんだっていい、意味なんかなんだっていい」っていう自由さが失われてしまっているように感じるのよね。曲を作品として見る人にとっては許せないかもしれないけれど、それが作品なのか、売り物なのか、聴くのか聴かないのかも自由なわけで。

 
そういえば先輩に翻訳系のゼミ出身の方いたし、連絡していろいろ話聞いてみようかしら。    

 

 

 

 

 

 

オリジナル日本語曲に見る文化の違い 

 

こうして韓国でヒットした曲を日本語に訳して歌ってくれるKドルもいれば、「日本語オリジナル曲」を出してくれるアイドルもいる。TWICEもRed Velvetもそう。そういう日本オリジナル曲の場合、韓国語の曲を翻訳するより歌詞的には自然になる。  


で、TWICEの日本語曲に「Wake Me Up」という曲がある。


TWICE「Wake Me Up」Music Video

断っておくと、私は音楽のことはめっきりわからない。今までこんなドヤ顔で書いておいて何?って感じなんですけど

ただ、この曲のMVを初めて見たとき、私は「抜いてね?」って思ったんですよね。まあこれはのちに間違いで、むしろTWICEはめちゃめちゃ高度なことをしていた、というのが判明するのですが。

当時の私には、他の韓国語曲のMVに比べて、拘ったカットが少ないように感じて。でもこの曲はジャパニーズK-POPファンにめちゃウケで、再生回数も5500万回を超えている。 


逆に、Red Velvetの日本語曲「#Cookie Jar」には、「本国の曲と同じ雰囲気だな」と思った。


Red Velvet レッドベルベッド '#Cookie Jar' MV

Red VelvetのMVは世界観が独特で隠されたメッセージが怖いみたいなので有名なんだけれど、この曲も実際にそんな感じのPVに仕上がっている。

でも再生回数を見ても、TWICEの「Wake Me Up」より売れたとは明らかに言えない。 

 

ここで、私あることに気づいた。TWICEのWake Me Upの撮り方、AKBに似てるのでは?


AKB48の大ヒット曲、言い訳MaybeのMVを見てみる。


【MV full】 言い訳Maybe / AKB48 [公式]

 

出てくるカットを大きく分けると三種類になる

ドラマパート…みんなで自転車レースをするという内容で、自転車を走らせるメンバーのカットが続く

ダンスパート…原っぱで全員でダンスする。個人をアップした映像が多い。全体をかなり引いて撮影したカットもある。

個人パート…いわゆるリップシンクというカット。個人個人の顔ヨリで歌う様子。

 
この三つについて、TWICEの韓国語曲「TT」、TWICEの日本語曲「Wake Me Up」、Red Velvetの日本語曲「#Cookie Jar」のそれぞれのMVで比較してみたい。 

 


①ドラマパート

TTでは、ちょっと不気味なお屋敷のに住む、九人の御伽噺の登場人物が描かれている。そこで何かしらのストーリー展開があるわけでも、キャラ同士の絡みがあるわけでもないが、衣装、設定はかなり凝っていて、それぞれのキャラに奥行きが見える。

Wake Me Upは、いわゆるドラマパートと言える部分はない。強いていうならば、場面設定に一貫性があるという感じ。

#Cookie Jarは、土の中に埋まった赤いクッキーを食べたら理想郷のような場所に行き、やりたい放題したけれどそれは幻想だと気づき脱出する、というかなり入り組んだストーリーが描かれている。 


ここで気がつくのは、「Wake Me Up」のみ明らかにドラマパートにおける重点が少ないということである。

言い訳Maybeは、ドラマパートはあるものの内容は割とあっさりしていて、映る画もほぼ自転車で走っているだけだ。むしろ曲前にガッツリドラマを撮っちゃっているので、MV自体にドラマ要素はほぼない。TTのようなキャラ立ちも感じられない。「Wake Me Up」のように、ストーリーにはあまり重きを置いていないと感じられる。 
 


②ダンスパート

TTは、お屋敷のフロアでのダンスと、CGでのお化けカボチャ風の背景でのダンスのパートがある。特にお屋敷でのダンスは、隊列移動が多くカメラワークがかなり凝っている。さらに、全体ダンスだけでなく、メンバー数人のみで踊っているカットもある。

Wake Me Upは、ダンスする舞台はフロア、階段、駐車場と様々である。カットは、全体を引きでとったものがほとんど。隊列移動も少なく、映像が切り替わらない限りはほぼ隊形が変わらない

#Cookie Jarは、いくつかの背景の違うフロアで全体で踊る。隊列移動、カット割がかなり激しく、画面がめちゃくちゃ切り替わる。 


ここで言いたいのは、Wake Me Upはダンスパートで激しく人同士が入れ替わったり、入り組んだりするカットが少なく、かなり見やすいということ。言い訳Maybeは、個人を映したダンスカットが多いので、同じように見やすく、個人の特定もしやすい。 
 


③個人パート

TTは、それぞれのキャラクターパートが個人パートになっている。そのため、それぞれその役を演じた上でのリップシンクパートになっており、演技も多い。

Wake Me Upは、個人の顔をアップにしたいわゆる「リップシンクパート」という感じのカットが多い。みんな笑顔が可愛い。

#Cookie Jarは、複雑なストーリーに従った、ドラマパートに直結する個人パートである。 


これは、完全にWake Me Up言い訳Maybeに相関性がある。この二つは「メンバーの見た目や表情」に焦点を当てている。TT#Cookie Jarはドラマパートと直結していることから、「メンバーの表現力」に焦点を当てていると考えられる。 
 
 


全体を通して言えることは、

TT#Cookie Jarは、パフォーマンスや曲の世界観を重視

言い訳MaybeWake Me Upは、個人個人の魅力を重視

ということだと思う。 

 


どちらにも各々の良さがあるけれど、一つ言えるのは、「多分日本では言い訳MaybeのようなMVの方がウケるんじゃね」ということ。それはもう人気や売り上げがそう示している。つまりTWICEは、日本と韓国でMVの撮り方を変えてより売れやすくしているのだ。すごくない?! 


この文化間での嗜好の差は、何に原因があるのかわからない。多分国家間ではなく、男性と女性の趣向の違いっていうのもかなりあると思う。TWICEの男性ファンの多さと、Red Velvetの女性ファンの多さはよく言われる話だ。でもこの辺に言及するためには、ジェンダーバイアスの話とかしなきゃいけなくなって面倒なのでやめておく。 


そしてこれ、おそらく、冒頭に紹介したNiziUの話の答えだと思う。NiziUの曲や日本版の曲が、本国の曲よりクオリティが劣って感じるのは、クオリティの問題ではなく、日本版で全く傾向を変えているからなのかもしれない。 
 
 
 
なんかTWICEはすげえ!って話になってしまったが、仕方ない。実際にすごいのである…。

もちろんRed Velvetやその他グループが頑張ってないという話ではないけれど、韓国のアイドルなのに日本で売る時に趣向を変えて発表するって、普通に割と難しいし勇気がないとできることじゃないと思うんですよね。

 

 

 

 

結局何が言いたいのよ

ただ、私が一番に言いたいのは、「日本で売れてるものってめちゃめちゃ日本人好みにしてくれてんだよね」ということ。

日本でK-POPに触れていると、「自分は韓国に詳しい」みたいな気分になってくる。

でもそれって、日本で人気なものだけを見て、海の向こうのことまで分かった気になってるってこと。俗にいう「ドラッグ吸ってる映画を見ただけ、ドラッグ吸ってる気に浸っている」なんじゃないか?めちゃくちゃ浅はかなことだと思う。

あるK-POP関連の動画についていた「K-POPって韓国で売れたって、結局日本で売れないと稼げないでしょ」というコメントを見た。やばくない?視野狭すぎじゃない?って思った。韓国で生み出され、韓国向けに発表されていたものを、まるで自国向けに作られたもののように、本気で思ってるんだよ、めっちゃ危険だし怖い発想だと思う。

そんなに周りが見えてない人はさすがに少ないとしても、その上で、あれ、もしかして私もめちゃくちゃ視野狭いんじゃ?って思った。

Wake Me UpのMVを見て「手抜いてね?」と思った時点でそういうことなんだよね多分。

海外の作品を好きになった時、消費するだけならまだしも、発言したり深く愛したりするときに、「なるべくその国のことをよく知る努力をする」ってめちゃめちゃ大事なことだなと思った。

だから私は、K-POPについて語るために、好きなグループの曲を聴くだけじゃなくて、いろんなK-POPアーティストの曲を聴こうと思ったし、ハングルだけでも読めるようにしようと思ったし、韓国の地理とか、文化についても学ばなきゃなと思った。

 

ここで大事なのは、「好きというのに知識はいらない」ってところだと思っている。前書いたように、私は「一曲しか知らなくても好きと言っていい」と思うんです。前っていうのは大昔に書いたCANMAKEについてのブログです。

CANMAKE炎上をどう切り取るか - まじでひま

だから、日本向けに作られたものだけを見て「好き」というのも全く問題ないと思う。

 

ただ、ある程度分かった気になって語るために、特に海の向こうで作られたものに関しては、やっぱり色んなこと学んでいきたいですよね…。どんなバックグラウンドがあるかって本当にわかりにくいもんね。

 

 

めちゃくちゃ説教か?みたいな内容になってしまったが、これは私の信条、私が考えたことなので、一概に全てに当てはまるとは思っていません。私がこうやって生きていきたいって思ったよってこと!

 

まあ、本当に難しい話ですよね…。特に、私たちは韓国のものだけ消費しているわけじゃないから。フランス映画を観たらフランス語勉強したくなるし、タイのドラマ観たらタイ語勉強したくなるよね…マジで…。そんな時間ねンだわ…。