まじでひま

別に暇じゃないし、どちらかというと忙しい

AKB総選挙を見て、涙サプライズを思い出した話

今年もありましたね。AKB48選抜総選挙

今年は世界選抜なんて名前もついて、参加者も当選枠も第一回とは比べ物にならない数でした。一位の松井珠理奈さん、三位の宮脇咲良さんは結構好きなメンバーだったので、なんだか嬉しかったりします。

色々言われてますが。

 

色々言われているのを見て、私はこれを思い出しました。


【MV full】 涙サプライズ / AKB48 [公式]

AKB48「涙サプライズ」のPVです。

AKBが爆発的に売れたのが「ポニーテールとシュシュ」リリースの頃で、この曲はそのちょうど1年前にあたる、つまり売れる直前の曲なわけです。

AKBにはたくさんの名PVがありますね。ポニシュ、ヘビロテ、恋チュン。でも私は、「前田敦子神推し」だった中学生の頃から、このPVが大好きでした。少し映像をかじっている大学生の今でも、このPVに勝るものはないな、と思います。

 

まず見ていただければわかると思うんですが、「手作り感」が半端ないんですよ。

そういうコンセプトだからなんでしょうが、まるで本当にメンバーがあっちゃんのために用意したかのような小道具やセット。

そしてカット割りや演出も光りますね。目隠しのままバッキバキに踊る前田敦子、「バスケットボールゴールあたり」のフリ、お立ち台でキレッキレに踊る松井珠理奈、趣向が凝らされた個人アップ、特に麻里子様とこじはるの顔が可愛すぎる・・・言い出したらキリないですね。

そして、この、いかにも売れる直前!という感じの独特のキラキラ感。7人しかお客さんのいない客席に手を振った過去がある、彼女たちだからこそ出せるオーラです。

 

今のAKB、そして乃木坂欅坂、TWICEなんかの韓流アイドルなどのPVを見てて思うのは、「すげー100点だ・・・」ということです。ロケ地も厳選されている、セットもお金がかかっている、監督も有名だったりしますよね。隅々まで行き届いていて素敵です。

でもやっぱり私は、「涙サプライズ」のキラキラ感には勝てないな、と思います。確かに涙サプライズは100点じゃない。でも、100点じゃないところに120点をあげたくなるようなPVです。アイドルのうちに秘めたキラキラとか、見る人全員が抱いている青春の煌めきとか、そういうものが確かに、その6分弱に詰まっています。

 

ここまでいろいろ言いましたけど、結局何が一番すごいって、いやこれはポニシュとかもそうなんですけど、全員!もれなく!楽しそうなんです!!!本当に!誰一人として楽しくなさそうな子、お仕事だからって割りきって笑ってる子、立ち位置への不満をあらわにしてる子がいないんです。

 

ここに映っている子たちは、ほとんどが古くからAKBを支えている子たちです。(中には小森美果さんのように、入ったばかりの研究生もいます)それぞれがそれぞれの、頑張りを知っています。努力を知っています。

このころのAKBって、本当に女子校みたいでした。みんなが仲良くて、お互いがお互いを信頼しあっているのが、画面の向こうからでも分かった。

 

選抜総選挙もそうですが、AKBの売り方、演出の仕方は、かなり「舞台裏」「ストーリー」に特化しているなと思います。

汚いところや汗は絶対に見せない、「アイドルはトイレに行かない」時代を抜け、そのアイドルの成長過程や絆をありありと見せていくような、いわば二次元アイドルに近いやり方に変化していったからなのかなと。二次元アイドルのアニメって、ファンじゃ普通見れない舞台裏まで描かれてますよね。そういう感じです。

でも、その売り方に必要不可欠なのは、「アイドル同士の信頼関係」です。二次元アイドルと違って、ノンフィクションの世界なんですよ、AKBは。ノンフィクションで舞台裏を映したら、ドロドロ陰湿ないじめの世界だった、なんてことがあったら、暇を持て余した主婦ぐらいしか食いつきません。

あっちゃん、優子ちゃんの時代は、その信頼関係が深く結ばれていたように思います。それは、他でもなく、「メンバーのことを近くで見てきた」からです。

第三回総選挙で一位になったあっちゃんは、謙虚に、「AKBを引っ張ってきたのは優子だ」と言いました。それは、AKBを引っ張る優子ちゃんを近くで見ていたから、心からそう思っていたからだと思います。

それに対し優子ちゃん。二位になっても落胆した顔はほとんどせず、「あっちゃんはAKBの顔だから」と純粋にあっちゃんを祝福しました。優子ちゃんがあっちゃんの頑張りを近くで見てきて、「あっちゃんなら一位を任せられる」と本気で思っていたからだと思います。

 

今回の総選挙、一位の松井珠理奈さんはSKE48、三位の宮脇咲良さんはHKT48です。大きくなったグループ、多忙な二人が、どれだけ、お互いの頑張りを見てきたでしょうか。

そう、二人とも、本当に頑張り屋さんなんです。珠理奈ちゃんは11歳でデビューしてすぐセンターに抜擢され、AKBのファンから大バッシングを受けます。さらになんでもできる彼女は、事あるごとに兼任、代打センターなど、大役を任されてきました。それでもSKEのトップとして、チームを10年間先頭で引っ張ってきた。

咲良ちゃんは総選挙で好成績を収めたのにも関わらず、HKTでセンターになれずにもがいてきた苦労人です。SNSの投稿に趣向を凝らしたりと、小さなところからコツコツ努力を惜しまない人でした。今ではYouTubeチャンネルも自ら運営する多才ぶりです。

 

AKBの総選挙のような演出の仕方は、涙サプライズ!の時のような、中規模のアイドルグループには効果てきめんですが、「世界選抜」になった今、それはただのランク付けになってしまったように思います。

珠理奈ちゃんは、「自分が、自分たちSKEが一番頑張っている」と思い込んでしまうし、咲良ちゃんも「私がセンターに適任だったのに」としか思えなくなってしまう。(言い方はキツかったと思いますが)。そのことに関しては、可愛いアイドル二人には罪はないと思います。若いのに、超忙しいんだもん。大変だよね。頑張ってるよね、二人とも。

 

でも一つ、確信を持って言えるのは。「涙サプライズの頃のAKBは、全員が信頼し合った、素敵なグループだった」ということです。またこういう時代が来るといいな。